KITZ

往復書簡006:クレオール

ぼくを湿地帯に引きずり込んだなんて、とんでもない。どうか、お気づかいなく。なにしろ、ぼくは、「日本近代美術史」という、天使も踏むを危ぶむ泥濘地帯をフィールドとして研究をつづけてきたのですから。 そればかりではありません。「日本」と呼ばれるこ…

往復書簡004:ブリコラージュ

ずいぶんと応答が遅れてしまいました。失礼をお詫びします。ひとこと言い訳をさせていただけば、博士課程の院生たちの論文指導が大きな山場を迎えところに豊田市美術館の講演と集中講義の準備が重なって、てんてこまいの毎日でした。どうか、ご寛恕ください…

往復書簡002:東京から

季節の移りゆきは、都会にいても感じられます。先日、相模大野の居酒屋で口にした生ビールの金属臭に夏の終わりを直感しました。蝉たちの「死の舞踏(ダンス・マカーブル)」も山場を越え、アスファルトのうえに無残な亡骸をさらしています。秋のおとずれは…